一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(所在:東京都文京区、理事長:白井克彦 (早稲田大学名誉顧問) 以下、JMOOC)は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本 良江、以下NTTコム オンライン)と共同で、「大学のオープン化に関する調査」を実施した。
本調査は、NTTコム オンラインが運営するインターネットアンケートサービス「NTTコム リサーチ」の登録モニターのうち、全年代の方を対象に調査を実施し、有効回答者数は1306名。今回で11回目の調査である。
総括
大学等の高等教育機関などが、インターネットを通じてオンラインで講座を公開する取り組み「MOOC(Massive Open Online Courses)」は、簡単な登録だけで無料で講義を閲覧・学習することができる。テストや課題の修了条件を満たした学習者には、履修の証明として「修了証」が発行される仕組みである。
2012年にアメリカで始まった「MOOC」は今や世界中に広がりをみせ、学習者は5800万人以上と言われている。一方、日本では2014年4月から講座提供がスタートして3年半が経過し、JMOOCの受講者は約40万人(2017年9月末現在)であり、依然として日本における認知度の低さが伺える。
日本国内のICT化の動向としては、“Edtech”の進展により、利用するインターネット端末がパソコンからモバイル機器へと移行し、いつでもどこでも手軽に学べる環境が整った。学習場所や時間が多様化しているにもかかわらず、社会人の「学び直し」経験者は未だ少ないのが現状である。
一方で、学び直し経験者にその理由を聞くと、「職業上必要」がこの1年で大幅に増加し、今後、職業上必要に駆られての知識補完や異動等の環境要因などにより復習としての学び直しニーズは増える可能性を示唆する結果となった。
また、学習手段は「書籍による自主学習」に次いで「無料のWEB講座」を求める声が多く、ICT化が進む教育手段の変化が学習者側の自由な学習手段の選択にもあらわれており、MOOCをはじめとした無料のWEB講座への展望が見込める結果となった。
なお、MOOCで学習したい分野は、「音楽・映画」が男女ともに人気で、4年連続でトップ10に同様の分野がランクインし、男性は「歴史」、女性は「心理学」が普遍的に人気のある分野であることが明らかになった。
調査結果のポイント
(1)スマホ・タブレットなどの「モバイル機器の普及」で多様化するMOOCの学習場所・時間
MOOCへの評価は、8割以上が良いとして例年高い評価で推移するも、日本における認知度は未だ低い。一方、インターネット端末のモバイル化が進み、一般利用のインターネット端末については、スマートフォン及びタブレットなどのモバイル機器の合計がパソコン利用を9.2ポイント上回った。MOOC学習者にもその影響が現れており、依然パソコン利用が上回るものの、スマートフォン及びタブレットなどのモバイル機器のポイントが大きく上昇し、学習場所・時間は多様化している顕著な結果が出ており、自宅や図書館だけでなく、いつでもどこでも学習する時代になったことを物語っている。
(2)MOOC学習での希望分野は、4年連続で 男性1位「歴史」・女性1位「心理学」
〜4年連続で「トップ10に同じ科目」がランクイン〜
学習したい分野の調査結果は、上位から「音楽、映画」「歴史」「心理学」と続き、教養系と実務系科目に万遍なく分散しており、多様なニーズが示されている。なお、調査対象者がランダムにも関わらず、上位10分野については、4カ年連続で同様の科目がランクインしていることから、現代の日本人には普遍的に人気がある学習分野であることが言える。男女別でも4年連続男性1位は「歴史」、女性1位は「心理学」と結果が分かれたが、2位以下も例年同様、男性では「ビジネス・実学系」への関心が高く、女性は「生活密着系」分野に関心が集まる結果となった。
(3)学びの理解を深められることへの期待から、「対面学習(反転学習)コース」への評価は高い
MOOCと講義動画受講後に直接講義が受けられる対面学習(反転学習)の組合せは、日本独自の取り組みであるが、その数は講座全体の約4割におよぶ。この対面学習への受講意向はポジティブ層が76%に達し、うち是非受講したいが46%と積極的な層が大きくポイントを上げた。
対面学習(反転学習)コースへの期待は、ここ数年で「自らの学習するモチベーションの維持」から「学習において理解を深められること」へと変化している。直接質問できるなど、直接的なコミュニケーションも望んでいるが、それよりも対面で講義を受け、直接質問することによって、オンライン学習での学びの「理解を深められること」への期待の方が大きいことが読み取れる。
(4)学習のモチベーション維持に有効な「修了証」
MOOCでは、課されたテストや課題の修了条件を満たした学習者には、履修の証明として「修了証」が発行されるが、その修了証については、8割がその必要性を感じており、モチベーション維持や自己PRに繋がるなどのメリットを感じていることが読み取れた。
(5)職業上必要に迫られた「学び直し」ニーズが上昇中。無料WEB講座(MOOC)に期待を寄せる
学生時代に専攻した科目の「学び直し」経験者は2割、未経験者は8割だが、昨対比で学び直し経験者が僅かに増加している。なお、学び直し経験者にその理由について聞くと「職業上、復習が必要」が48.3%、「職業上、専攻科目知識では不充分」が42.5%と、必要に迫られた「学び直し」が大きくポイントを伸ばした。
学び直し手段としては、書物での自主勉強が圧倒的に多いが、希望を聞くと「WEBの無料講座」と「書物での自主学習」が他を引き離す結果となり、この2つの組み合わせでの学びを希望している、もしくは、程よい無料のWEB講座があればそれで学習したいという意向が読み取れた。
また、今年度調査より理工系出身者対象にした学び直しの実態についての調査も開始したが、学び直し経験者にその学習分野を聞くと、プログラミングや統計学を含む情報系分野が35.3%と圧倒的に多かった。
調査概要
・調査対象: 「NTTコム リサーチ」(http://research.nttcoms.com/) 登録モニター
・調査方法: 非公開型インターネットアンケート
・調査:大学のオープン化に関する調査
・調査期間: 平成29年8月25日(金)~平成29年9月7日(木)
・有効回答者数:1306名
・回答者の属性:【年代】 男性10代:9.6%、20代:8.0%、30代:8.3%、40代:8.0%、50代:8.1%、60代以上:8.4%、
女性10代:9.4%、20代:8.3%、30代:7.8%、40代:7.8%、50代:8.0%、60代以上:8.3%
【職業】 会社役員/社員:30.5%、公務員・団体職員:5.6%、自営業:5.1%、学生:19.3%、
アルバイト・パート:11.3%、専業主婦・主夫:15.9%、無職:11.5%、その他:0.8%
◉調査データの詳細を含むリリースはこちら>>2017年度大学のオープン化調査
◉NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社のリリース
<本件に関するお問い合わせ先>
一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会
担当:JMOOC事務局 林
TEL:03-3295-3555
URL:https//www.jmooc.jp
メールアドレス:secretary@jmooc.jp