【大学のオープン化に関する調査結果報告(2018年)】

学び直しのニーズがじんわり上昇中–MOOCは多様化する学習に効果的–

ニュースリリース


一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(所在:東京都文京区、理事長:白井克彦 (早稲田大学名誉顧問) 以下、JMOOC)は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本 良江、以下NTTコム オンライン)と共同で、「大学のオープン化に関する調査」を実施した。

本調査は、NTTコム オンラインが運営するインターネットアンケートサービス「NTTコム リサーチ」の登録モニターのうち、全年代の方を対象に調査を実施し、有効回答者数は1180名。今回で12回目の調査である。

 

総括
—————————————————————————————————————-

大学等の高等教育機関などが、インターネットを通じてオンラインで講座を公開する取り組み「MOOC(Massive Open Online Courses)」は、簡単な登録だけで無料で講義を閲覧・学習することができる。テストや課題の修了条件を満たした学習者には、履修の証明として「修了証」が発行される仕組みである。

2012年にアメリカで始まった「MOOC」は、ヨーロッパ圏やアジア圏にも広がりをみせ、世界のMOOC学習者人口は8,100万人以上と言われている(2018年1月 Class Central発表)。一方、日本では2014年4月からJMOOCが講座提供をスタートして4年半が経過したが、JMOOCの受講者は約91万人(2018年10月末現在)であり、依然として日本国内におけるMOOC認知度の低さは否めない。

日本国内のICT化の動向としては、“Edtech”の進展により、いつでもどこでも手軽に学べる環境が整った。学習場所や時間が多様化したが、隙間時間の学習とじっくり時間をかける学習スタイルの組み合わせがある程度定着してきたことが読み取れる結果となった。また、社会人の「学び直し」経験者は未だ少ないが、確実にその数を増やしていることもわかった。

また、学び直し経験者にその理由を聞くと、昨年は職業上必要に駆られての学び直しニーズが多かったが、今年は、自己研鑽型が上回り、人生100年時代が叫ばれる今、自主的に学び続ける意識を持った層が増えたことを示唆する結果となった。

一方、学習手段について、実際は「書籍による自主学習」が主流だが、希望を聞くと「無料のWEB講座」を求める声が圧倒的に多く、教育のICT化が学習者側の自由な学習手段の選択にもあらわれており、MOOCをはじめとした無料のWEB講座への展望が見込める結果となった。

なおMOOCで学習したい分野では、男性1位は「経済学&金融」と昨年まで4年連続1位だった「歴史」が4位へ順位を下げ、実務系分野が1〜3位までを占めたことは本年度の大きな特徴である。

 

調査結果のポイント
—————————————————————————————————————-

(1)MOOC学習は、出先では「スマホでのモバイル学習」、自宅では「パソコンでのじっくり学習」

一般利用のインターネット端末はパソコン利用が微増した。モバイル化が一旦落ち着き、用途に応じて使い分けする利用が定着したか。MOOC学習者にもその傾向が現れており、移動中などにスマートフォン及びタブレットなどを使いモバイル学習を、自宅ではパソコンを主軸においた学習スタイルが確立されてきたことが伺える。また、学習場所・時間については職場や学校が増えていることにも注目したい。
MOOCは、1本5〜10分程度の動画講座で構成されるので、移動などの隙間学習に向いており、課題はじっくりパソコンで学習するのに向いていることも、この結果を後押ししたといえよう。

  • (2)MOOC学習での希望分野は、男性1位「経済学&金融」・女性1位は5年連続「心理学」

学習したい分野の調査結果は、上位から「心理学」「歴史」「経済学&金融」と続き、教養系と実務系科目に万遍なく分散しており、多様なニーズが示されている。なお、調査対象者がランダムにも関わらず、上位9分野については、5カ年連続で同様の科目がランクインしていることから、現代の日本人には普遍的に人気がある学習分野であることが言える。男女別では、男性1位は「経済学&金融」と昨年まで4年連続1位だった「歴史」が4位へ順位を下げ、実務系が1〜3位までを占めたことは本年度の大きな特徴である。女性1位は5年連続「心理学」で、男性では「ビジネス・実学系」への関心が例年以上に高まり、女性は例年通り「生活密着系」分野に関心が集まる結果となった。

  • (3)「対面学習(反転学習)コース」への評価は高く、学習のモチベーション維持に有効な「修了証」

MOOC受講後に直接講義が受けられる対面学習(反転学習)の組合せは、日本独自の取り組みである。この対面学習への受講意向は、ポジティブ層が85%と大幅に増加し、うち「是非受講したい」が51%と半数を超えた。対面学習には、講師に直接質問できるなど直接的なコミュニケーションも期待し、それによってオンライン学習での学びの「理解を深められること」への期待が大きいことが読み取れる。
またMOOCでは課されたテストや課題の修了条件を満たした学習者に、履修の証明として「修了証」が発行されるが、その修了証については、75.7%がその必要性を感じており、モチベーション維持や自己PRに繋がるなどのメリットを感じていることが読み取れた。

  • (4)希望する学びの手段は、「WEBでの無料講座」が「書籍による自主学習」を上回った

学び直しの手段について希望を聞くと、昨年まで圧倒的に多かった「書籍による自主学習」を「WEBでの無料講座」が上回る結果となった。
また学び直しの費用について、自身の考えに近いものを調査対象全員に聞いたところ、「無料」を求める声が8割と、MOOC利用での学習する層の増加への期待が高まる。

  • (5)職業上必要ニーズのみならず、自己研鑽型の「学び直し」ニーズが上昇中

学生時代に専攻した科目の「学び直し」経験者は40.5%、未経験者は59.5%と学び直しの実態は半数もないという結果だが、学び直し経験者が昨年比18.2ポイント増え、大幅なニーズの上昇が伺える結果となった。
学び直し経験者にその理由を聞くと、昨年度は「職業上、復習が必要」「職業上、専攻科目知識では不充分」が多く、仕事で必要に迫られた「学び直し」が大きくポイントを伸ばしていたが、本年度は「仕事では必要なかったが自己研鑽のため」「将来のキャリアアップのためには必要だと感じたから」といった、自己研鑽型がポイントを伸ばした。
また、理工系出身者対象にした学び直しの実態についての調査では、学び直し経験者にその学習分野を聞くと、プログラミングや統計学を含む情報系分野が22.9%と圧倒的に多かった。

 

調査概要
—————————————————————————————————————-


・調査対象: 「NTTコム リサーチ」(*) 登録モニター
・調査方法: 非公開型インターネットアンケート
・調査:大学のオープン化に関する調査
・調査期間: 平成30年8月22日(水)~平成30年9月25日(火)
・有効回答者数:1180名
・回答者の属性:
【年代】 男性10代:1.9%、20代:9.6%、30代:9.8%、40代:9.7%、50代:9.6%、60代以上:9.5%、 
             女性10代:2.2%、20代:9.3%、30代:9.5%、40代:9.6%、50代:10.0%、60代以上:9.3%

【職業】 会社役員/社員:35.0%、公務員・団体職員:6.1%、自営業:6.9%、学生:5.9%、
          アルバイト・パート:12.6%、専業主婦・主夫:19.1%、無職:13.0%、その他:1.4%

 

◉調査データの詳細を含むリリースはこちら>>2018年度大学のオープン化調査

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社のリリース

<本件に関するお問い合わせ先>
一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会
担当:JMOOC事務局 林
TEL:03-3295-3555
URL:https//www.jmooc.jp
メールアドレス:secretary@jmooc.jp